ググってといわれ日常生活に欠かせないグーグル、世界中で注目を集めたポケモンGO。動画サイトのYouTube。このような革新的なイノベーションは、天才たちの未来を正しく見通す力で成し遂げられた。
本書の著者村上憲郎氏は、まるで未来を見てきたかのような、「日常感覚を飛び越える発想」でサービスを生み出す天才たちを、多く目にしてきた。それは、著者が2003年にグーグル入社直後から始まった。
著者は、グーグルの創業者ラリー・ペイジとサーゲイ・プリンに入社当時に会い、衝撃的な言葉を聞かされた。
“僕たちがやろうとしているのは。画面の前に座った瞬間に、その人の知りたいことがぱっと画面にでてくる世界をつくることなんだ”(本書)
今から18年前のグーグル創業時に、未来を見据え「日常感覚を超えた発想やアイデア」に導く思考を目の当たりにした。これこそが「クオンタム思考」だったのです。
グーグル社は検索エンジンの会社と思っていましたが、創業当時から「量子力学」をベースにした量子コンピュータを駆使すれば、彼らが描く未来の世界ができると信じていたことに、驚かされました。
この様な「クオンタム思考」が、予測不能な時代に生きる企業経営者や、起業家の方々に、時代を先読みし、生き抜く方法を示唆してくれます。
では、本書での「クオンタム思考」の中身を見てみましょう。
本書の概要
失われた30年、経済成長率がゼロ成長が続き、且つ、コロナ禍で混迷する社会・企業環境は、予測不能な時代に突入しました。この様な時代に必要な思考は、「クオンタム(量子)思考」である。
そのための思考方法を取得するためには、知の体系が必要である。
「クオンタム思考」というのは、意識的につくり上げられた質のよい(量子分野を含んだ)フレーム・オブ・リファレンス(知識の体系)を土台として、その上に築かれる思考です。
具体的には、
自分の「フレーム・オブ・リファレンス(知識の体系)」に、ミクロの世界の物理学である「量子力学」に基づく量子コンピュータの存在を組み込み、強烈に意識することが重要である。
何故ならば、迫りつつある新しいパラダイム、第4のパラダイム時代には、量子力学の持つ「日常感覚を超えた性質」を使った「量子コンピュータ」が、主役になる時代がやって来る。
このことは、冒頭のグーグル創業者たちが、創業当時から「日常感覚を飛び越える発想」を持ってっていた。彼らの未来を見通す「クオンタム思考」は、企業経営者や若い起業を志す方々にとって必須となる。
(クオンタム思考 テクノロジーとビジネスの未来に再回りする新しい思考法 出版社:日経BP 村上憲郎著)
今なぜ、「クオンタム思考」提案の背景とは
バブル崩壊に始まる金融危機以降、「失われた30年」といわれる停滞にはまり込み、それを脱却できなくなってしまいました。「課題先進国」となってしまったからです。誰かが解決済の「正解」が、どこを探しても未だにない課題に、向き合わざるを得なくなっているにもかかわらず、そのような事態に有効に対処できないでいるからだとしか、私には思えません。(村上憲郎)
IT技術の急速な進歩や新型コロナウイルスの感染拡大によって、企業を取り巻く環境は大きく変化しています。この様な予測不能な「VUCA(ブーカ)の時代」には、未来を正しく見通す力・「クオンタム思考」が必須だと述べています。
新時代のキーワード・「クオンタム」とは
「クオンタム」は量子であり、ミクロな世界の物理学で、量子物理学といわれている。
この量子は、その振る舞い自体が、日常感覚的に理解しうるものではない。この量子力学の世界では、「日常感覚を超えること」がある。
”量子はその振る舞い自体が、日常感覚的に理解しうるものではないのです。「古典思考」「クラシック思考」が築いてきた科学技術の最先端には、日常感覚を超越した量子の世界が広がっている”(村上憲郎)
「日常感覚を超えること」の例
・量子は粒子でありながら波でもある(重ね合わせ)
・量子は一度に2か所に存在することができる。(量子のもつれ)
文系の私、ここで一息つきます・・・
このように、書いてきましたが、文系で数ⅡBまでが、やっとの私の能力では、この本を読みこなすには限界がありました。
著者は優しく文系の人は飛ばしていいよ!と言ってくれ、甘えて1回目は飛ばして2度読みました。
さらに、YouTubeには、優しい量子力学の動画が沢山あり、著名な大学教授や最先端で量子コンピュータの研究をなさってる方の動画は、概要把握する?のに役立ちました。
まさに、著者が言う「一知半解」で概要の把握に努めました。
著者の量子力学の原点
著者が量子力学に強い興味を持ったのは、高校時代の数学の先生から一冊の本の勧めがあった。
著者は、私の2年先輩で、同じ時代に、同じ高校に通っていて、こんな世界があったのか?先生はどなたなのか?
当時から神童と言われた先輩の理系の教室を覗いてみたくなった。
非常に興味が沸き、早速、購入して、読んでみた。
「不思議の国のトムキンス」白揚舎:ジョージ・ガモフ著
この本との高校生時代に出会ったことが、著者の「フレーム・オブ・リファレンス(知の体系)」の上に量子力学を置き、強い影響を与えたことは間違いなさそうです。
話を戻しましょう。
フレーム・オブ・リファレンスを豊にする方法
著者・村上憲郎氏はサラリーマン時代に「一知半解」でよいと考え、年間200冊の本を読み、
1500冊の様々なジャンルを8年間で読破し、大量に本を読むことで、分野ごとの共通点や関連性が見えてくるようになり、
脳内に質の高いフレーム・オブ・リファレンスを形成できたと言います。
著者はフレーム・オブ・リファレンス(知の体系)を豊にする方法を紹介しています。
①書籍・動画などのインプット
②リベラルアーツを学ぶ
③量子力学分野を学ぶ
④英語を身につける
⑤社会人の基礎教養として財務3表(損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書)と契約書を読めるようにする。
私も自分のフレーム・オブ・リファレンス(知の体系)、即ち自分の知のプラットフォームを拡張すると共に、「量子力学」のコーナーを設けて、「一知半解」で概要の把握に努め、未来を見通す力を身につけたいものです。
今までの既存のコンピュータとは全く異なる、量子力学に基づいた「量子コンピュータ」が私たちの生活とビジネスを大きく塗り替えていく。最近のニュースで、ご存知の方も多いと思いますが、
グーグルが「量子超越性」を達成したと2019年10月に公表した。即ち、既存の世界最高性能といわれるスーパーコンピュータが1万年かけて解く計算を、量子コンピュータがわずか200秒で解き終えた。
まさにすごい世界が見えてきました。
最後に
著者は、量子力学や量子コンピュータへの理解を避けることは、未来へ進むことを止めるのと同じだと語り、「量子力学がビジネスの基礎教養」の時代になったという。
21世紀は、20世紀とは違った形で、人類は大きな課題に直面しつつあります。
何が正解かどうかも“わからない”世界で、自分の頭で考え、結果を出すためにも、「クオンタム思考」を駆使していきたい。
文系の私ですが、「一知半解」で量子力学、量子コンピュータに興味をもっていきたいと思います。
コメントを残す
コメントを投稿するにはログインしてください。