55年前の忘れ物を思い出した!・・・「星の王子さま」サン・テグジュペリ著を再読して

最近ハマったものがある。それは、日本初の語り師 小河知夏劇場。文学をエンターテイメントでお送りする話芸【語り劇】です。近々、「星の王子さま」原作:サン・テグジュペリが、公開されることを知り、再読するため本棚から取り出した。古本の匂いが漂い、購入年月日を見て驚いた。二十歳のときだった。私の意識、エピソード記憶が、55年前の記憶を蘇らせ、いつしか当時書いていた日記を思い出し、紐解くことになった。

あらすじ


         (1967年12月3日購入)

星からやってきた王子様が、地球を訪れ、様々な人や動物たちと出会いながら、真実や美しさを探求する。彼の旅は、大人たちが見落としている大切なものを再発見する物語である。

55年前の記憶なので、キツネの話とバラの花の話ぐらいは、うろ覚えていたが、全体の話は忘れていた。読み返して、大人たちが見落としている、人生の大切なものを再発見した。内容はこどもだけではなく、大人の童話です。

大人たちが見落としているもの
この本の巻頭に「かつて子供だったことを忘れずにいる大人はいくらもいない」と言う下りがあります。


確かに今の現代社会での大人は、こども心の純真さをじっくりと味わえないうちに、大人にならされた・・そのことは、物事をうわべだけでしか見なく、その本質に目をつむってる大人がいかに多いが分かります。

 

従って、大人にも、こども心の純真さを取り戻すことで、息苦しいこの世を変えようとする著者の意志が伝わってきます。

読み進んでいくうちに、こども心の純真さと言うキーワードが気になり、ふと、学生時代に書き綴っていた日記を思い出した。

       (二十歳の日記帳:嵯峨路)

エピソード記憶が蘇らせた55年前の二十歳の自分と忘れ物
団塊世代の二十歳の時代背景は、学生運動が盛んで、大学はロックアウトで、休校であった。

学生運動には、関心が薄く、心の癒しを求めて、人生の師である女性クリスチャンの方の「お話」に興味を持ち、個人宅の「新宿マンション」へよく出かけた。

 

「新宿マンション」では、エディット・ピアフのシャンソンの曲がながれ、小説「風と共に去りぬ」を読んだり、中原中也の詩を朗読した風景が浮かんできた。

 

そこには、一流ホテルマンや永平寺の修行僧が脱走して画家を目指す人、我が人生の師である哲学を語るクリスチャンの方、そして魅力的な保育園の保母さんが出入りし、刺激的な異空間であった。


二十歳で書いた日記は、原稿用紙に嵯峨路と銘打っていた。そこには、上記「新宿マンション」で、恋をした保母さんとの出会い、

彼女と仲間との食事、そして恋心を綴った心情が克明に書かれていた。恋する気持ちを歌った「詩」も数編が記載していた。

 

そこには、二十歳の純情な気持ち、即ち、こども心の純真さが滲み出て、恋心の切なさや、不安、逢った喜びが、素直な気持ちで表現されていた。
55年前の記憶が蘇った瞬間であった。

「星の王子さま」の本もちょうど同じ時期に購入したと分かり、驚いた。


私の二十歳時代は、王子さまのようなこども心の純真さが存在していたことに、嬉しさとそんな自分がいたことに驚きを感じた。

その後の55年間はどうであったか?・・・こども心の純真さは、影を潜め、一般の大人になり、社会的なルールや常識にとらわれ、本当に大切なものを見失ってしまった人であったのも事実である。

今回「星の王子さま」を再読することで、忘れかけていたこども心の純真さに気づき、さらに、

「小さな世界」と言う童話が、書きかけであったことを発見した。まさに、「55年前の忘れ物」は何を意味するのか、残りの人生を豊かにするすべを教えてくれたように思える。


   (55年前の忘れ物;書き始めた童話)

五感で受け取ったものを情報化する(時間がかかる)
養老孟司先生は、最近書かれた本「ものがわかるということ」で、こども心の純真さで自由に描かせると非常にいいものができると指摘されてます。

人は、美しい光景を見て、これを残したい思ったときに詩や俳句を作ったり、あるいは絵を描いたりします。・・五感で受け取ったものを言葉や絵にして表現し、人に伝える作業は、とても時間がかかります。大人は、辛抱がが無いので、そんなふうに絵を描きません

そして、養老孟司先生は、五感で受け取ったものを絵や詩に表現し、情報化できる人がたくさんいる社会が健康だと思う。と述べられています。

このことは、「星の王子さま」の著者、サン・テグジュペリの「大人にも、こども心の純真さを取り戻すことで、息苦しいこの世を変えようとする」趣旨に繋がってきます。

王子さまとキツネの話
「星の王子さま」の教訓興味深い「マーケティング」の本を読んだ。

その本は「ファンベース」佐藤尚之著、これからのマーケティングの必読書である。その巻頭には、キツネの話から始まっている。

「がまん強くなることだ」キツネが答えた。「はじめは、ぼくからちょっとだけ離れて、こんなふうに、草の中にすわるんだ。ぼくは横目でちらっときみを見るだけだし、きみもなにも言わない。ことばは誤解のもとだから。でも、日ごとにきむは、少しずつ近くにすわるようにして・・・」
(星の王子さま」サン・テグジュペリ原作)

ファンベースと言うマーケティング手法は時間がかかる
ファンベースと言うマーケティング手法は、「ブランドや商品を愛してくれるファンを大切にし、ファンをベースして中長期的に売り上げや価値を上げていく考え方である。」

この手法は、コアファンを育てるのに時間がかかるが、そのコアファンが育った暁には、価値を彼らがあげてくれる。

教訓:友情や信頼、そして時間や献身的な努力の重要性を示しています。

この本「ファンベース」は、巻頭が「星の王子さま」のキツネの話で始まり、最後はマザーテレサの有名な言葉で終わっている。そして著者は語る!

著者は、言う。「ファンベース」の教えの中には、あなたの人生において何を大事にするかを試されている。キレイゴトを楽しもう。キレイゴトなくして何の人生か、と僕は思う。


ここにも、人生の哲学が語られている。それは「こども心の純真さ」や「キツネの話」の信頼を得るには時間がかかる、そしてマザーテレサの言葉が、「キレイゴト」を楽しもうに包含されている。

王子様とバラの花
自分の星に咲いているバラの花が、地球のバラと同じではないと知ります。このエピソードは、愛や献身の重要性を教えてくれます。


ここで、キツネは、「
王子さまが、愛情を注いだバラの花への大切な心」の秘密を教えてくれた。

教訓:「心で見なくちゃ、物事はよくみえない」」、「肝心なことは、目に見えない」

「面倒を見た相手には、いつまでも責任があるんだ。守らなければならないんだ。」この言葉の重みを最近特に感じています。

まとめ
「星の王子さま」を55年振りに再読して、思わぬ「忘れ物」を発見した。人生の哲学がちりばめられた大人の童話を噛みしめて、

残りの人生をこども心の純真さを忘れずに生きていきたい。

 

 

 

 

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