私のお気に入り・・・二つ折の恋文が 花の番地を探してる!

目を閉じて口ずさんでみた。

二つ折の恋文が
花の番地を探してる

私の事務所の小さなデスクに飾ってる
言葉がある。

書家・春陽さん作
いつの頃か、この言葉が私のこころ
に響き渡った。

「蝶」を「二つ折の恋文」と表現し、
飛んでる様を「花の番地を探して
る」。

初恋のときの「ときめいた」感性を
この短い文章に感じたことを覚えてる


書家・春陽さん作

 

この文章は、多くの方がご存知の
博物誌ルナール 岸田国士=訳 
Histoires naturelles新潮文庫
昭和29年発行
動物の挿絵と共に、短い文章がつい
ている。

博物誌の中の一つだとは知っていた
が、全体を読んだ事が無かった。

早速購入したが、実に面白い表現で
動物を観察している。

原書はフランス語、大学で第二外国
語として学んだが、ままならない。

Le Papillon 蝶

Papillon, ce billet doux plié
cherche une adresse de fleur.

ググってみたら、訳者の岸田國士
訳がすばらしい事がわかった。

何か日本の俳句に通じるものが西洋
にもあるんだと思い、調べたら
訳者の「あとがき」に書いてあった。
——————
西欧には、わが俳文学の伝統に類するもの
は皆無だと言っていいが、
この『博物誌』
をはじめ、ルナールのなかには、

いくぶんそれに近いものがありはせぬか、
ということを、私はかつて「葡萄畑・・・・」

の序文の中で指摘した。
—————

何かの話題で、「貴方の好きな言葉」
はありますか?と聞かれる事がある。
すかさず、この文章を挙げる。

その会話の中で、友人の書家の
方が描いてくれたものがある。

その一人春陽さん。私のブログ の中で
個展の様子が登場します。

この「蝶」の短い文章にかかわる
想い出がある。

昨年両親が住んでいた実家の解体の
日程が決まり、家財の整理に訪れた。

奇妙な体験をした。庭に咲いていた
お花にアゲハチョウが舞い降りてき
て、私の前から去ろうとしない。
(YouTubeで公開してます

まるで、両親が蝶に成り代わり、
語りかけてくる。

いつしか、幼少の頃の風景や実家
を建てたばかりの頃の情景が
走馬灯のように頭を掠めていった。

(幼少の頃:中央)

取壊し前の実家

若きしころの両親

「蝶」
二つ折の恋文が
花の番地を探してる

私のお気に入りの短い文章と現実が
まさに結びついた瞬間であった!

亡き両親との想い出を、解体間近の
実家で引き合わせてくれた「蝶」に
感謝し、心の中で合掌した。

蛇足になるが、AI(人工知能)が進化
する世の中になりますが、感性に響く
AI翻訳は難しいと感じます。

人間本来の「感性」を大事にしていけ
る時代であることを願ってます。

 

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